
院長インタビュー
患者さんの全身的な問題を考慮し、高度かつ安全な治療を提供する
~錦糸町で開業された動機を教えてください。

田中憲男院長
私は東京都江戸川区という下町で生まれ、育ちました。
私にとっての錦糸町という街は、子どもの頃から映画を観に行ったり、両親にプレゼントなどを買ってもらったりするデパートがある身近な大都会でした。
電車などの交通の便も良く、東京だけでなく千葉・埼玉にお住まいの患者さんにも来院していただけるのではないかと思い、開業しました。
~開業時に比べ矯正の需要は、増えてきましたか?
矯正治療の需要は年々増加しています。開業して今年で12年目になりますが、初診の患者さんの数も毎年増加し続けています。また、特に変わったこととして、他のクリニックで断られてしまった難しい症例や当院で相談件数が5、6件目になられる方の数が増加しています。
~40代の女性も矯正をする方が増えていると聞きますが、貴院ではいかがでしょうか?
40代だけでなく、50代、60代の女性も矯正治療を受けられる方が増えています。当院は元々40代の女性の患者さんが多かったため、歯周病などの疾患をお持ちの30代、40代の女性の治療のノウハウは他のクリニックと比べても数歩先に行っていると自負しています。
~矯正はブラケットなどを一定期間つけるため、汚れなどが歯に付着しやすいと聞きます。貴院では矯正中の予防はどのように指導していますか?

きめ細かいブラッシング指導を行います
矯正装置を付ける前に基本的なプラークコントロール、ブラッシングのチェック、成人の方は歯周病の検査を行います。問題のない患者さんは矯正治療に移行しますが、問題がある患者さんは歯周治療ならびにブラッシングの練習を行い、治療に入ります。歯に付着する汚れの程度によって毎回のクリーニングで対応することもあれば、あまりにも状態が悪い場合は一時的に装置を外すこともあります。
~また、矯正治療前にむし歯のある患者さんはどのように対処していますか?
当院には歯周病や一般歯科の先生も在籍しているので、虫歯は一通り治してから矯正治療を行うのが原則です。最終的にかぶせ物をする歯、ブリッジ(入れ歯)を入れる予定の歯などの場合は仮歯の状態にして矯正治療を行い、矯正治療後に最終的なかぶせ物をかぶせる方法を推奨しています。
~田中先生は矯正専門医でありながらインプラント治療もなさりますが、施術にあたり患者さんの基礎疾患(高血圧症・高脂血症・糖尿病等)を抱えている患者さんの治療において、どのような点に配慮していますか?
全身的な基礎疾患を抱えている患者さんの場合は、あらかじめ内科医の元に依頼をして全身的な問題がないかの検査を行います。そして、手術中は当院の麻酔科医が全身的な管理をします。それにも関らずリスクが高い患者さんの場合は手術そのものを行わない方向でお話をします。
患者さんの症例に合わせ、様々な種類の矯正治療を提供する
~先生は矯正治療を専門とされていますが、興味を持たれたきっかけを教えてください。
歯科矯正学に関しては母校だけでなく、全国の歯科大学も同様ですが、教科書中心の授業であり、歯列矯正を臨床に導入するには不十分な内容でした。つまり、矯正学を学ぶためには大学卒業後に医局に在籍して専門的な教育を受ける必要がありました。私自身、医局に数年間在籍し、回り道をして開業することは長い人生においてたいしたことではないと思い、大学に残って矯正治療を学び始めました。当初は2,3年程度の在籍予定でしたが、矯正治療の難しさと面白さに取りつかれ、結果的に10年間在籍していました。
~貴院はCTセンターとオンラインで提携し、3D画像による診断を行っていますが、その特徴や利点を教えてください。

3D画像を用いてわかりやすく説明します
画像診断は画像診断専門医が行う方がブレは少なく、より細かい診断が可能になるため、患者さんに安全な治療を提供できます。また、診療に追われてなかなかデータの作成ができない私を後方で支援していただけるので、仕事のスピードアップにもつながっています。
~貴院は一般矯正だけでなく、舌側矯正、インプラント矯正、コンビネーション矯正、外科的矯正など様々な矯正治療を行っていますが、それぞれの特徴や効果の違いを教えてください。

様々な種類の矯正装置
舌側矯正は他人に矯正していることを悟られず、キレイに治るという大きなメリットがあります。オススメできる治療ですが、治療費用が少々割高で、治療期間が一般期間に比べて長期になることが欠点です。
また、インプラント矯正は従来の矯正治療の応用版のイメージです。ですから、従来の矯正と比べて治療期間が短期間であり、治療の仕組みがシンプルになるため、口内炎などのお口の中のトラブルが減少すると思います。
コンビネーション矯正はいきなり歯を削って差し歯を入れるのではなく歯を配列してから、かぶせ物を入れることで歯ならびだけでなく、歯ぐきとのバランス、笑った時の歯の見え方などの細かい点を気にされる方にオススメできる方法ですね。
外科的矯正は一般矯正と違って健康保険が適用される治療です。当院は墨田区に数件しかない、保険診療で可能な外科的矯正が行える医療機関の一つです。この治療は東京都知事の指定医療機関でないと行うことができませんので、大学病院に準じた設備があり、それに準じたスタッフが勤務しており、そして大学病院などで長期間常勤医として勤務した矯正医でないと治療認可をもらうことはできません。ですから、保険適用の外科的矯正が出来るクリニックはある程度のレベル以上の矯正歯科医院であると言えると思います。
~田中先生は歯科大学の矯正科時代に形成外科医や口腔外科医とチーム医療を実践していたと聞いております。その時の学びや現在の矯正治療に活かされていることを教えてください。
大学時代は形成外科医や口腔外科医とチーム医療を行っていました。現在は同じ大学ではなく、他の大学の矯正歯科がない医学部や形成外科、歯学部、総合病院口腔外科医などとチーム医療を行っています。大学時代のノウハウを活かし、現在は矯正歯科医を探している分野の先生方と大学時代以上の関係を築けていると思っています。
患者さんとのコミュニケーションを大事にしている
~矯正治療は時間がかかる治療ですが、患者さんとのコミュニケーションで心がけていることは何ですか?
治療が終わる度に、今回はどのような目標をもって治療をおこなったか、報告することを心がけています。予測している結果が数回続くことで患者さんに治療に対する期待を持っていただけます。良い方向に治療が進むことが、患者さんの毎回毎回の治療のモチベーションアップにつながっていると思います。
~小児矯正を行う時、お子さんとの接し方で気をつけていることはございますか?

キッズスペース
お子さんは痛くしなければ、基本的に対応に困る事はありません。ですから、痛くしない治療を心がけています。
ただ、お母さんがそばにいるとどうしてもお母さんの方に注意がいってしまいますので、当院はお子さんと先生が2人きりでコミュニケーションをとることを重視しています。
~矯正治療中に転勤・転居する患者さんへの対応で何かされていることはございますか?

日本矯正歯科学会 認定医資格証
私は日本臨床矯正歯科医会という矯正歯科を専門とする開業医の団体に所属しています。全国に約500件の矯正歯科開業医の先生がその団体に加入されています。
全員が日本矯正歯科学会の会員であり、日本矯正歯科学会の認定医です。その約500件の歯科医院では、全国の転勤・転居する患者さんの対応を相互で行っています。当院でも北は北海道、南は九州まで色々な方面からの患者さんの受け入れを行っておりますし、一方で当院から地方に行かれる患者さんの転院を何人も行っています。ですから、転勤・転居に関して何も心配することはありませんよ。
~スタッフの採用や教育、マネージメントで注意していることはございますか?

プロ矯正歯科スタッフ一同
医療職ですから、過度な茶髪や爪が長いなどの身だしなみに気をつけることは最低限重要なことだと思います。人は見かけによらないと言いますが、医療職に関しては見た目も大事ですからね。
また、教育に関しては私一人ではできないこともあるため、教育用のセミナーやマナーのセミナー、技術的な面ではメーカーの主宰するセミナーに参加してもらうようお願いしています。
~消毒、滅菌で設備費用を投下しているもの、もしくは気をつけていることを教えて下さい。
消毒・滅菌は医院管理においてとても大切なことですから、当院には滅菌機が2つあります。一つは普通の歯科医院にある大型の滅菌機、もう一つは短時間で滅菌が可能な小型のポータブルタイプの滅菌機です。このポータブルタイプの滅菌機の最大の利点は、どうしても時間がかかってしまう滅菌を15分で終わらせることができます。ですから、もし一つしかない器具を落としてしまった場合、15分待っていただければ滅菌が完了し、治療を再開できます。また、強酸性水による薬液消毒も行っていますが、基本的にはポータブルタイプの滅菌機で対応しています。
粘り強い対応で、限りなく100%に近い治療結果を実現する
~休みの日は何をされていますか?
昔はサイクリングやゴルフをやっていましたが、今は1歳と3歳の子どもとひたすら遊んでいます。
~歯科医になろうと思ったのはなぜですか?
私の高校時代の担任の生物の先生の息子さんが歯科医師で、授業中に息子さんのお話を聞き、歯科医師という職業に興味を持ちました。
~臨床を行う上で大切にされていることを教えてください。

決してあきらめない田中院長
あきらめないことが一番大事ですよ。矯正治療は難しく、残念ですが目標を100%達成できないことがあります。
そのような場合でも、治療の結果を簡単に諦めずに粘り強く対応し、できるだけ100%に近づけていくことが重要です。
その上で、今まででしたら治療不可能だった症例に遭遇しても自分の粘りと根性でそのハードルを乗り越えていくことで、私の治療スキルは過去に比べて現在も向上し続けていると思います。
~臨床現場で喜びを感じるのは、どのような時ですか?

皆さんに喜んでいただける治療を提供します
歯ならびを治すことで患者さんが自信を取り戻し、仕事をしたことがなかった人が仕事をするようになった、今まで家にこもっていた方が社会生活を行えるようになった、彼氏ができた、結婚することになったなどの社会環境の変化を報告していただいた時が一番嬉しいですね。